「くっ記述が書けない…」そんなアナタに→記述問題の答え方【基本編】

国語読解

記述問題 苦手なんだよなぁ…
どうやって答えを書けばいいのか分かんないよ…
一生懸命書いても、良くて△、たいてい✕だし…

何が基準で〇✕がついているのか分からないと、どう勉強すればいいのか不安だよね。
まずは記述の基本的な考え方を整理していこう。

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記述問題の基本は、答えを「組み立てる」こと

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記述問題に答えるための軸は、選択問題と基本的に同じです。
つまり、「論理」と「語彙」をもとに答えをつくっていきます。
そして、記述の原則は「抜き出し」です。

そもそも記述問題といっても〇✕をつける以上、その〇✕を判断する根拠が必要です。そして、その根拠は客観的でなくてはいけません。

では、客観的な根拠とは何かといえば、基本的には本文中の語句・表現です。ですから記述問題でも、まずは問いに対する答えとなる部分を本文中から探すことから始まります。

結局のところ「本文中に何て書いてあるの?」を問われているわけです。
それを踏まえると、記述問題であっても答えに該当する「本文中の表現を書き抜くこと」が最初の一歩になります。

一方、記述に対して苦手意識を持っている人は、「自分の意見・思ったこと」を「自分の思いついた言葉」で書こうとしているのかもしれません。そうなってしまうと、本文の語句に注目していないため、どんな言葉を使えばいいのか基準が分からず、かえって答えづらくなってしまいます。

また、答えの根拠が主観的なため、的確な答えにたどり着かない可能性大です。結果、✕をくらったり減点されたりで、ますます記述に自信が持てなくなってしまうという悪循環にハマります。

以上をふまえて考えると、記述問題の解答は、自分が思ったことを書くのではなく、「抜き出し」た箇所を問いに適した形に「組み立てる」ことが基本になります。

たしかに「抜き出し」+「組み立て」だけで対応できる記述問題ばかりではありません。
問題が難しくなってくると、本文を抽象化して記述したり、さらには本文中では明記されていないことを自分の語彙で答えなければならないものも出てきます。
しかし、そういった難しい記述問題だけで構成されているテストは多くありません。
まずは「抜き出し」をベースに記述解答を「組み立てる」ことから身につけていきましょう。


記述問題の主なパターン3選

記述問題は大まかに3パターンの問い方があります。

  1. 「書き抜け」パターン
  2. 「文章中の語句を使って答えよ」パターン
  3. 「説明せよ」パターン

ここで注意したいことは、問い方(=指示)が違うということは、答え方が違うということです。

その点を意識してそれぞれのパターンを見ていきたいと思います。


1.「書き抜け」パターン

「書き抜け」パターンの答え方は、シンプルに「該当範囲を本文からコピペ」です。
念のため確認しておくと、句読点も習ってない漢字も全て本文通りにコピペです。

答え方がすっきり分かりやすいので「どうやって記述しようか…」と悩むことはないでしょう。「これって記述問題といっていいのか?」とも思います。

しかし、書き抜き問題は記述問題の答え方を考える上で大事なポイントを教えてくれています。

それは先ほども述べたように、
「受験国語の解答は客観的に適切であることを示せなくてはならない」ということです。

基本的に、受験国語の読解問題は「自分はこう思った」「私はこのように感じた」という主観を答えるものではありません。※

なぜなら「テストは〇✕をつけなければならない」からです。
もし個人の主観を問う問題を出してしまったら、〇✕をつけられないのです。思想良心の自由が日本国憲法で定められている以上、回答者が未成年の子どもであろうが、採点者が大人であろうが、個人の主観に〇✕をつけることはできないからです。

※「自分の思ったことを自由に書け」という設問だったら話は少し変わってきますが、それでも自分の思ったことを無差別に書けばOKということではありません。

では国語における客観的な根拠は何か、といえば極論すると、

「本文に何と書いてあるか」(または「この言葉の意味は何か」)です。

とすると、記述問題の答えも根幹は「本文から答えに当たる箇所を書き写すこと」になります。
そのため「書き抜く」問題は記述問題のベースとなるわけです。

この考え方をもとに「文中の語句を使って答えよ」パターン、「説明せよ」パターンの解き方も考えていきたいと思います。


2.「文章中の語句を使って答えよ」パターン

この場合、どうやって答え作ってんの?

本文から言葉を拾ってきて、つなぎ合わせてます。

そういうやり方で答えてる人って結構多いよね。

ただちょっと確認したいんだけど、それで模範解答みたいな答えになる?

…あまりならないです。

(そうなんだよね…)

「文章中の語句を使って答えよ」パターンも、答えの基本はやっぱり書き抜きです。
ただし、問いに合わせて形を整えることが必要です。
それは、本文をそのまま書き抜くと問いに適した答え方になってないからです。

例えば、理由を問う問題に対して、
答えとなる本文中の記述が「~から」の形になっていない、といったケースです。
その場合、問いに対応するように「~から。」を付け加えて解答をつくる必要があります。
他にも、解答をつくる際に手を加える例として以下のようなものがあります。

「問いに合わせて形を整える」とは?

  • 文末を問いに対応させる。
    例「なぜ?」→「~から。」 「どういうこと?」→「~こと。」
  • 指示語を具体的な言葉に置き換える。
    例 書き抜く部分に「それ」等の指示語があったら、その指示語が指す語句に置き換える。
  • (必要なら)主語を補う。
  • (字数によっては)余分な修飾語を外す。  など…

また、以下に挙げるような「答え方のルール」を知っていると、どのように解答すればいいか打つべき手が定まってきます。

否定表現は避ける

否定表現とは「〇〇は、✕✕ではない」という言い方です。この表現は日常会話の中ではよく使いますが、「問いに適切に答える」場合、基本的に使わないようにします。

例えば、消しゴムを持った人が「これは何ですか?」と質問した時に「それは鉛筆ではありません。」と答えるのは間違っていませんが、かといって的確な答えでもありません。

なぜなら、「それは地球ではありません。」「それはトマトではありません。」など、「それは〇〇ではない」という否定表現の答え方は無数に作れてしまうからです。
この場合、「それは消しゴムです。」という答えるのがもっとも的確です。

記述解答でも同様に、問いに対して「Aではない」という答え方は避け、「Bである」という表現に置き換えることがポイントです。

しかし、本文には問題で扱う部分が「✕✕ではない」と表現になっていることがあります。この場合、「〇〇である」という肯定表現に置き換えて答えることがポイントです。


3.「説明せよ」パターン

「説明せよ」パターンも基本はやっぱり書き抜きです。
その上で「文中の語句を使って答えよ」パターン同様に、問いに合わせて形を整え、文章を組み立てていきます。

イメージとしてはプラモデルのようにパーツを組み合わせるのに近いです。
作業は「文中の語句を使って答えよ」パターンと同じように見えますが、「説明せよ」パターンは引用元が本文中にいくつもある場合が多いです。

解答を組み立てる際に言葉を補うこともあります。
本文では前後の内容から明らかな内容であっても、答案ではあらためて記述する必要があったりします。
また、似たような表現が重なる場合は、どんな表現でまとめるか判断する必要があります。

よく言われることかもしれませんが、
「はじめてその文章を読んだ人にも分かるように書く」というヤツですかね。

個人的に「曖昧な指示だなぁ」と感じるので、自分が教える時はあまり使わない表現です。

私の授業では「記述解答が独立した『文』として成立している」ことをポイントに指導しています。
ただし「記述解答が『文』として成立している」と判断するのは語彙や文法の知識が必要ですし、その生徒自身が文章に触れてきた経験値によるところも大きいのは否めません。
(だから勉強が大事なんですが…)
こうした部分が記述に苦手意識を持つ生徒が多い原因なのかもしれません。

記述問題について教わる際、先生から「とりあえず答えを書きなさい」と言われることが(わりとよく)あると思いますが、
それってはじめて野球を経験する人に対し、監督やコーチが「とりあえず試合に出ろ!」って言っているのと大して変わらないんじゃないか、と個人的には思ってます。
それで上達できる選手は元々の素質がある人です。監督やコーチがいなくても、そこそこできるようになります。

何が言いたいかというと、記述問題に答えさせる前に、最低限のルールと技術を教えるべきだ、ということです(これは私が生徒だった頃に強く思っていたことです)。


設問からヒントを集める

設問文が長いことをイヤがる人がいますが、それは非常にもったいないことです。
「たくさん条件がついている」ということは、「たくさんヒントがある」ということだからです。

設問から適切な答え方を決め、選択問題同様にヒントを集めていきましょう。


指定字数も大きなヒント

例えば、「50字以内」で答えるように字数が指定されているなら、答えは「45〜50字」になります。

「指定字数の8割以上」と教わることがあると思いますが、その場合だと50×0.8=40字になります。だったら始めから「40字以内」と指定します。
10文字も余りがあるなら「答えに盛り込むべきパーツがもう1単語、もう1文節あるのでは?」と考えるべきです。

ためしに国語の問題集の解答をチェックしてみてください。
記述問題の模範解答は、おそらく指定字数のマイナス5文字の範囲でおさまっているはずです。


「〜とはどういうことか?」問題の答え方

傍線部の表現について、「〜とはどういうことか説明せよ」という問題があります。
「どういうことかって聞かれても…何て答えりゃいいのよ」と困ってしまうような問いですが、この問いは場合分けによって答え方が決まります。

基本的には以下の2通りです。

  1. 比喩の文に傍線が引いてあるなら、「その比喩で表現したいことは何か」を聞いている。
    例,「熊みたいなやつ」→「強いやつ」「体が大きいやつ」「毛深いやつ」
  2. 比喩以外の文(筆者独特の表現や難しい言葉など)に傍線が引いてあるなら、「もっと分かりやすい言葉で言い換えて」と要求している。

記述問題って文才は必要ないのか…

ここで挙げたのは基本の考え方だけど、
記述の取り組み方が分かっただけでも少しは気持ちが楽になったんじゃないかな?
まずは抜き出しをベースにして、その上で記述の答え方の技術を身につけていこう。

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