国語の読解って「センス」だと思うんだよね。
うーん。「センス」って「感覚」ってことだよね。
ちょっと聞きたいんだけど、他の科目も「感覚」で答えてるの?
出題者はみんなの「感覚」を試験しているんだろうか?
いや、そう言われると違うかなって思うけど…。
じゃあ答えを出す方法っていうか、やり方ってあんの?
もちろん。○か✕かを判定する以上、その判定基準があるんだよ。
そういう視点を持てば読解問題の解き方や勉強の仕方が分かってくるかもしれないね。
選択問題を解く基本は消去法
選択問題って、2つまでは絞れるんだよね。
いつもそこで✕の方を選んじゃうんだよなぁ…
オレ、呪われてるのかな…
(ずいぶん地味な呪いだな)
「2つまでは絞れる」ってよく聞くよね。
正解を選べるようにするために、どうすればいいのか紹介していこう。
✕の選択肢を消去し、正解を絞りこんでいく
国語の読解問題は「語彙」と「論理」にもとづいて判断することをくり返し述べていますが、選択問題はまさに「語彙」と「論理」のふるいにかけて正解を絞りこんでいきます。
問題作成者が選択肢をつくる場合、解答者を迷わせるため「✕の選択肢が正解にみえる」ように、
逆に「○の選択肢は正解に見えない」ようにカモフラージュ(偽装)してあります。
その偽装を見破って✕の選択肢を取り除き、正解を見つけていくのがミッションです。
起爆装置に何本もコードがつながっている爆弾を想像してみてください。
その中の1本が正解で、それ以外はドカン!です。
それぞれのコードが絡み合っていて、簡単には分からないように様々なカモフラージュがされています。
「赤の線が正しいように見えるが、いや裏をかいて青の線か…」
命がかかっている状況の中、勘でコードを切りますか?まさか、しないですよね?
確実に起爆装置を解除したいですよね。
そのために原理原則の理解、どういう引っかけがあるのかという知識、様々なパターンに対応してきた経験などを総動員しますよね。
(個人的に起爆装置を解除したことはありませんが…)
選択問題も似たようなイメージてす。
「国語の読解についての原理原則」の理解や、
「どういうカラクリで選択肢は作られているのか、偽装されているのか」といった知識・経験を駆使してトラップを見破り、確実に正解を選べるようにしていきましょう。
そして、その基本となるのが消去法です。
消去法のポイントは「論理」と「語彙」
消去法は、本文と選択肢を照らし合わせて正しくない選択肢を外していく方法です。
本文中や選択肢にある語句、またその語句の意味といった客観的な根拠をもとにして、答えを論理的に判断していきます。
大事なことは、〇の選択肢が正しい理由を根拠をもって証明するだけでなく、✕の選択肢が間違いであることの根拠も明確にすることです。
「本文中に・・・・と書いてあるから」
「この語句の意味は~~だから」
⇒「この選択肢は〇だ・✕だ」
と必ず根拠をもって判断するようにしましょう。
「何となく」をとことん排除する姿勢をつけていくことが重要です。
「選択問題は消去法で解く」のがセオリーですが、「選択肢に惑わされる可能性がある」という意見もあるようで、後述する「正答法」を指導されることもあるかもしれません。
個人的には「選択肢は解答者が迷うように作られているのが当然」なので、消去法のトレーニングはやっぱり必要だと思います。
以下に、偽装された選択肢を見抜くためのノウハウを紹介していきます。
〇✕判定のポイント①:選択肢の語句を本文と照らし合わせて正誤判定する
消去法の原理原則です。
基本的な話ですが、そのためには語句の意味を正確に知っていることが非常に大切です。
選択肢と本文とでは、「同じ内容が」「違う表現で」書かれていることがほとんどです。
だからこそ正誤を判定するには正確な語彙が必要です。
「聞いたことはあるが、詳しい意味は知らない」という程度の語彙力だと、選択肢で書かれている内容が本文と同じなのか、それとも違うのかを確実に判断できません。
語彙力は、本文の内容理解だけでなく、答えを判断する重要な決め手にもなります。本文だけでなく、設問に含まれる語句についても知らないものがあったら必ず調べて、着実に語彙を強化していきましょう。
余談ですが、授業で選択問題の解説をする時に、判断の分かれ目となる語句について生徒に確認すると正確な意味を知っている人は多くありません。
ということは、結局勘で答えを選んでいる人がほとんどだということです。
悲しき現実…😢
選択肢を部分ごとに分解して判定
選択肢の内容を句読点で区切ったり、出来事と心情で分けたりして、それぞれの選択肢を部品に分け、その部品ごとに本文と照らし合わせて正誤判定をしていきます。
これは選択肢の内容を判定する上で非常に重要です。後で説明する内容も「選択肢を部分ごとに分解」することを前提にしています。問題を解く際に必ず行うようにしましょう。
まず注意しないといけないのは、その選択肢の一ヶ所でも✕なら、その選択肢全体は✕ということです。
ここは✕なんだけど、他の部分は本文そのままなんだよな〜。
もったいないな〜。ほんのちょびっと違うだけだし…
よーし!大目にみちゃおう!
なんてことは通用しません。✕は✕です。
ちなみに、本文そのままの選択肢は非常に怪しいです。
本文に書いてあることがそのまま正解になるような問題だったら、勉強してない人でも得点できてしまいます。そんな問題をテストで出すでしょうか?
「勉強を重ね、十分な学力を身につけた生徒を選抜する」ことが試験の目的ですから、やはり「勉強してないと正解できない」問題を出すはずです。そう考えると、やはり本文そのままの選択肢はかなり危険です。
喩えて言うなら、道端に落ちているバナナの皮です。
気をつけなければいけないに決まっています。
マリオカートじゃ常識です。
これを踏んづけて転ぶ人は極度のおっちょこちょいか、わざとやってます。
そんなヤツいねーよw
国語でも同様の見え透いた罠が仕掛けてあります。
それに引っかかるのはバナナの皮をふんで転ぶレベルなんだということを心に刻んでおきましょう。
……。
もちろん「本文中の語句と全く同じ言葉が使われているから✕」ということではありません。本文と同じ言葉が使われていても、設問に正しく答えているのであれば問題ありません。
結局のところ「設問で何が問われているのか?」を的確に把握し、本文と選択肢の内容を照らし合わせて答えを判断することに尽きます。
筆者独特の言葉遣いに注意
選択肢の内容を本文と照らし合わせて正誤判定をするときに、判断のポイントの1つとなるのが語句の意味です。しかし、注意しなければならない点があります。
それは、使われている言葉の意味が辞書に載っている意味とは違うこともあるという点です。
おいおいマジか。カンベンしてくれよ。
例えば、「」(カギカッコ)や傍点がついている場合やカタカナで書かれている場合があります。
これは明らかにニオイますよね。誰でも怪しいと思います。
「これは特殊な意味で使っている言葉だよ」と、筆者が分かりやすく示してくれているわけです。
この場合、本来の(辞書的な)意味に近い内容だったり、比喩的な意味、あるいは皮肉をこめた意味で使われています。
しかし、本当に注意しなければならないのは何の目印もない、当たり前のように文中に紛れている語句です。
これに気付くには、
- まず特殊な意味で使われている語句があるかも、という意識を持つこと
- そして語句の本来の意味を正確に知っていること
が必要です。
辞書に載っている意味を知っているからこそ「通常とは異なった意味で使われている」と気付けるのです。
「知らない語句」に引っ張られない
国語の授業をしていて「まーよくやるよね、この間違い」と目にするパターンがこれです。
よく知らない語句がまじっている選択肢があると、
ひょっとしてこれが…
と、ついつい引き寄せられてしまうのです。
「何となく」答えを選んでいる典型例です。
そんな判断の仕方をしてると詐欺られますよアナタ。
「知らない語句」に引っ張られないために一番有効な対策は「知っている語句」を増やすことです(身も蓋もない話ですが)。
語彙を強化しましょう。
〇✕判定のポイント②:選択肢同士を比較する
選択肢同士の違いに注目する
基本的な話ですが、選択肢同士を比較して細部の違いをはっきりさせると、何に注目して判定すればよいかがはっきりします。
例えば、
ア 〜〜があって、□□だった。
イ 〜〜があって、△△だった。
という選択肢があったら、「結局□□と△△のどっちなのか」を判断することになるので、本文を読む時はそれが分かるところに注意すればよいわけです。
このように選択肢同士の違いに注目することで「本文中のどこに的を絞って読めばいいのか」がはっきりしてきます。
選択肢同士の共通点に注目する
上の話は選択肢同士の違う部分に注目しましたが、一方で選択肢同士で共通する部分に注目するのも大事です。そうすることで、特に「最も適切なものを選べ」という問題では「答えとして盛り込まれるべき要素」を判断しやすくなります。
例えばア・イ・ウの選択肢があり、それぞれが本文の内容と一致した[ a ][ b ][ c ]という要素でできているとします。
ア [ a ]が[ b ]で、[ c ]ということ。
イ [ a ]が 、[ c ]ということ。
ウ [ b ]で、[ c ]ということ。
アには[ a ][ b ][ c ]の要素があり、イには[ a ][ c ]の要素が、ウには[ b ][ c ]の要素があります。
この場合、全ての要素がそろっている「ア」が最も適切な選択肢ということになります。
注意しなくてはいけないことは、先に目にした選択肢(前述の例でいうとア)で盛り込まれている要素が、後で目にする選択肢(例でいうとイ・ウ)に含まれていると思い込んでしまうことです。
ふだん文章を読んでいる時は、前の文で書かれていることをふまえて内容を把握します。具体的には、指示語の内容や省略されている主語などを脳内で補完しながら文章を読んでいるのです(そうしないと文章の内容が理解できません)。
ですが、選択肢を選ぶ際は、それぞれの選択肢を独立したものとして捉えないといけません。選択肢を見比べているうちに、選択肢に書かれている内容が混ぜこぜにならないように気をつけましょう。
〇✕判定のポイント③:極端な表現は危険
かなり有名な見分け方の一つです。
「唯一」「絶対」「一つも〜ない」など、程度について100%または0%を意味する極端な言葉が含まれている選択肢は不正解である可能性が高いです。決めつけることはできませんが、危険です。
ほとんどの場合、筆者と問題作成者は別の人間です。であれば、筆者でもない人間がその文章について断言することは基本的にできません。
ただ、そもそも本文に「唯一」「絶対」「一つも〜ない」等書かれていたら、その限りではありませんが…。
〇✕判定のポイント④:「良識的な内容」の選択肢に注意
選択肢の内容が「良識的な」こと、別の言い方をすると「ごもっともなこと」を言っている場合、その選択肢を安易に選ばないように気をつけましょう。
判断基準はあくまで「本文に書いてあるか・ないか」です。
例えば、「本文の内容に合致する選択肢を選べ」という問題で、
「かけがえのない自然を保護するために、一人ひとりが環境に配慮し行動することが大切だ」
という選択肢があったとします。
選択肢の内容自体は素晴らしく、道徳的に間違ったことは言ってないと思います。
しかし、本文の内容が
「最強の牛丼は駅前の○○屋だ」
ということだったら、先の選択肢は正しくありません。
正確に言うと「本文の内容に合致していません」。
上の例は極端なので(または馬鹿馬鹿しすぎて)引っかかる人はいないと思います。
しかし、本文や選択肢の内容が複雑で難解になってくると、この罠にまんまと引っかかる人が出てくるのです。「何となく」で答えを選んでいる人は「良識的な内容」が書いてあると✕にしづらいようです。
出題者は自分が仕掛けた罠に受験生が引っかかる光景を想像してニヤニヤしていることでしょう。
〇✕判定のポイント⑤:因果関係や時系列に注意
語句の意味があっていても、選択肢の内容が確かに本文に書いてあると思っても、まだ油断してはいけません。
本文と選択肢を見比べたときに、原因と結果が逆になっていたり、そもそも関係ないもの同士をさも関係あるかのように結びつけていたり(世の中でもそういうことあるよね)していないか確認しましょう。
どのようにチェックするかというと、
- その内容は文中のどの位置で書かれているのか
- 文章の展開の順番は合っているか
物語・小説では、
- 出来事と場面がズレていないか
- その場面ではまだ登場人物が知りえない情報が含まれていないか
など、原因・結果や時系列の整合性がとれているかを見ていきます。
出題者が選択肢を作る方法として、「選択肢の一部分を別のものにすり替える」というワザがあります。注意深く確認しないと、正しく見えてしまうので用心が必要です。
選択肢に関するノウハウはまだまだありますが、挙げていくとキリがないですし、逆に混乱しかねないので代表的なポイントに絞って取り上げてみました。あくまで「論理」と「語彙」を軸に答えを導きだす、という原則にもとづいて問題を解いていきましょう。
- 選択問題は「論理」と「語彙」を軸に、消去法で答えを絞りこむ
- 選択肢の語句を本文と照らし合わせて正誤判定する→選択肢を部分ごとに分解
- 選択肢同士を比較して相違点・共通点をチェックする
- 極端な表現は危険
- 「良識的な内容」の選択肢に注意→本文の内容と合致してる?
- 因果関係や時系列に注意→「すり替え」はないか?
正答法で選択問題を解く
選択肢を見ないで、一旦自分の答えをある程度かためてから、選択肢と照らし合わせて最も近いものを選ぶという方法です。
個人的には、消去法で答えを絞りこむ力がついてから練習した方がいいと思います。
なぜなら、客観的に判断する習慣がついてないうちは「思い込み」で答えを考えてしまう危険があるからです。
また、そもそも選択肢の中に自分の考えた答えと合致するものがなかったらどうするの?
という疑問もあります。
選択問題ではあくまで「提示されている肢の中から」答えを選ぶことが要求されているので、「問いに対し適切に答える」という視点から見ても、まずは選択肢の正誤判定から始めるべきだと思います。
ただ、答えを自分で組み立てていく思考は非常に大切です。
記述問題では選択肢に頼ることができないので、
「何を問われているか」「問いに対しどのように答えるのが適切か」ということを自分で考えなくてはいけません。
それをふまえると、「正答法」のトレーニングは記述問題に対応していく上で役に立つと思います。
客観的な根拠をもって論理的に判断していく習慣がついてきたら、この方法も練習していくと良いのではないでしょうか。
大事なのは、段階をふんでトレーニングしていこう!ということです。
国語の問題は「センス」で解くわけじゃなかったのか…
そう。
〇✕をつけるテストである以上、正解の根拠があるはずなんだよ。
もしそうでなければ採点者の「センス」、
つまり感覚で〇✕つけられることになるよ。
たまったもんじゃないだろ?
それは…
許せんな!
でしょ。
だから答えの根拠をはっきりさせることを意識して勉強していこうな。
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