本文を先に読む方がいいのか、
設問を先に確認した方がいいのか、
それが問題だ…。
教える人によって諸説あるよね。
個人的には「つまるところ、正解できりゃいいんじゃない」
って思うけど、参考までにいろいろ検討してみよう。
読解問題の解き方について
「国語の問題は本文を読んでから解くのがいいのか、設問を読んでから解くのがいいのか」という質問を受けることがあります。
教える人によっていろいろ流派があるみたいですが、大きく分けて以下の3つがあるようです。
- 文章を読んでから解く
- 設問を確認してから文章を読む
- 文章を順番に読みながら問題に突き当たったら解く
結論は「全部できるようにする」のがベストです。
どのやり方にも、それぞれ一長一短があると思います。
個別に考えてみましょう。
文章を読んでから解く
そもそも「次の文章を読んで、問いに答えよ」ってよく書いてあるし、
これがオフィシャルな解き方なのでは?
文章全体の内容を覚えて問題に答えることなんてできないよね。
結局、設問を見てからもう一度文章を読むことになるだろうし、
タイムロスが多そうだね。
くっ!そうだよ。何回も読んでるよ!
おかげで時間内に終わらないこともよくあるよ!
当たり前ですが、文章は「前から順に読んでいくこと」を前提に書かれています。
文章の内容を整理して理解するには、やはり先頭から順に読んでいく方がスムーズです。
ただ…
本文の最初の方、覚えてますか?
特に最近の入試は長文化しています。
長い文章の内容を頭に入れて問題を解くというのは、あまり現実的とは言えなさそうです。
いざ問題に取りかかると、
「えーと、どこに書いてあったっけ…」と本文に戻り、
「あれ?ここらへんにあった気がするんだけど…」と本文のあっちこっちをさまよい始め、
「…何をきかれてたんだっけ?」と設問をもう一度確認しに戻り、
「あ。そーだそーだ。えーと、…」(以下、ループ)
と、ページを何往復もペラペラとめくり、そよ風がさぞ心地よいことでしょう。
これはかなり時間を食い潰します。
テストでは時間に制限がある以上、できる限りムダを削って解答したいものです。
加えて注意したいことは、本文を読むことばかりに気を取られて、
設問の確認・理解が十分にできていないことがよくあるという点です。
例えば、設問で「心情が変化するきっかけ(出来事)」をきかれているのに、「心情」を答えようとしていたり…。
算数・数学の図形問題でいうと、
“表面積”をきかれているのに、一生懸命“体積”を求めてしまっている…
みたいなパターンですね。
頭の中が本文の内容でいっぱいいっぱいになってしまい、「設問で何を問われているのか」まで頭が回らない、という状態に陥っていないでしょうか。
文章の内容を理解できたとしても、問いに適切に答えない限りマルはもらえません。
これは当たり前のことではありますが、テストの大原則なので、改めて肝に銘じておきたいところです。
設問を確認してから文章を読む
どの部分について、どのようなことを問われるのか、
把握してから文章を読んだ方が効率的だよね。
設問の内容を頭に入れたまま文章を読んでいくのも、これまた大変。
あと、傍線部付近だけ読んで話の展開をつかむのって難しいよ。
あーいえば、こーいう。
…確かに「設問なんだったっけ?」ってことも、しょっちゅうあるんだけどさぁ…。
先に設問を確認しておけば、「何を問われるのか」をおさえてから文章を読むことができます。
「どの部分に注意して本文を読めばいいか」を絞り込めるのは大きなメリットです。
一方で、傍線部の付近だけさらっと目を通して答えを判断することがないように、くれぐれも気をつけましょう。問題が簡単なうちは、それでも正解できてしまうんですが、問題のレベルが上がってくると、文章の一部分だけに気をとられて正解を見落とすことが大いにあります。
部分読解の精度も高めていきたいですが、文章の一部だけを読んで答えを判断するのはかなり危険です。
特に最近の入試問題は長文化している一方で、本文全体の中から答えを探さなくてはいけない問題が増えてきました。「傍線部のそばに答えがあるとは限らない」のです。
設問を確認して問われる内容を絞り込むのは正解に近づく一手ですが、手早く終わらせようとして本文の一部分だけ読んで済ませようという不届き者は、まんまと出題者の餌食となるので要注意です。
文章を順番に読みながら問題に突き当たったら解く
両方の長所を合わせ持った最強の解き方では?
(どーよ!これでどーよ!文句ねーだろ!)
設問が文章の展開と同じ順番で並んでいるとは限らないよね。
内容一致の問題で、結局は全文読み返すなんてこともよくあるよ。
なんなの!?
じゃあ、どーすればいいのよ!
だから、それぞれの解き方の長所・短所を理解した上で
補い合って正解を導くことが大事だと思うよ。
目的は「正解を出すこと」であって、「解き方」は手段だから上手く使い分けていこう。
文章を読み進めながら傍線部に突き当たったら問題を解く、といった方法をとっている人もいると思います。
一見効率的なようですが、「何を問われるのか」をおさえずに本文を読んでいるという点では「文章を読んでから問題を解くこと」と大して変わりません。
さらに文章全体の内容をつかめていないのに設問に答えようとしている点では、むしろ不都合です。
こうしてみると、どれも十分とは言えないように思えます…。
結局、どうする?
「どんな解き方がベストなのか?」という議論は「最強の格闘技は何だ!?」という(男子的にはアツい)テーマに似ていて、状況によって最適解は変わってきます。
結論は「強いやつが強い」だと思います。
身もフタもない…。
「ククク…オレはロシアの軍隊格闘技の道場に通っているんだぜ…」とのたまっていても、
ちゃんとトレーニングしてないやつは負けるでしょうし、
たとえ雑誌の広告にあった通信空手でも徹底的に稽古してる人は強いと思います。
国語においても同様で、「効率のいい解き方を知っている」といっても、十分に習熟しないと、やはり確実に正解できる状態にはなりません。
結局、地道にトレーニングを重ねることが一番大事です。
読解問題の解き方についても、いろいろな問題のパターンに対応できるように、それぞれしっかりやりこんでおくのがいいでしょう。
3パターンぐらいしかないんだし。
ただ、トレーニングをしておくべき解き方をあえて挙げるとすれば、
「設問を確認してから文章を読む」方法です。
なぜなら「文章を始めから順に読んでいく」ことは学校でも行っているし、日頃の読書でも当然そのように読んでいるはずです。つまり、慣れているわけです。
一方、文章を読む際に「設問をチェックする」ことを、日頃から意識して行っている人は多くないでしょう(そもそも読書に設問はない)。
ということは、「何を問われているかに注意して文章を読む」ことは習慣になっていないはずです。
日頃やっていないことは、いきなりやってもできません。
そして、できるようになるためには練習が必要です。
また、設問を確認してから文章を読むことは「設問分析」を活用して答えを導くこととも密接に関係します。
そういうわけで、読解練習の際には「設問を確認してから文章を読む」方法を練習してみるといいでしょう。
様々な解き方ができるようにしておくためには、日頃意識して行っていないことをトレーニングすることが必要です。
自分ではトレーニングが難しいと思ったら、そのノウハウを持ったトレーナーやコーチに教わるのが有効だと思います。
解き方の参考例
例えば私が問題を解くときは以下のような手順で解くことが多いです。
設問の数によりますが、設問全体に一旦目を通します。
やはりテストの性質上、「何を問われるか」をあらかじめおさえておきたいからです。
設問分析で注意が必要なところにはマークしておきます。
設問のチェックをふまえて本文を読んでいきますが、設問に直接関係しない(と思われる)部分は、ひとまず「目を通す」程度にとどめます。
ただし、
設問分析の際にチェックしたワードが出てきたら、モレなくマークします。
また、
- 指示語とその内容はそれぞれマークして線を引いて結びつけておいたり、
- 具体例や比喩はカッコでくくったり、
- 「つまり」等の直後の文に線を引いたり、
など文章を整理する作業をしながら本文を読みます。
傍線部では(設問の難易度によりますが)、答えられる問題は手をつけていきます。
漢字や、語句の意味を問う問題は文章の前後関係から判断しなければならないものもあるので、文章を追っていく中で解答する方がベターです。
(漢字だけ先に解答する人もいると思いますが、同音異義語・同訓異字など要注意です。
同じ読みの漢字を判別するためには、前後の文章から文章を拾ってくる必要があります。)
記述問題や判断に悩む選択問題は一旦後回しにして、解答しやすい問題から処理していきます。
これもやはり、本文を読む前に設問を一通りチェックしているからこそ優先順位がつけられるわけです。もちろん着手してみないと難易度を判断できない問題もありますが、全くの行き当たりばったりで問題を解こうとするより、はるかに効率が良いはずです。
このような方法が全ての問題に対して通用するとは限りませんし、「それだったらもうやっとるわ」という人もいるかもしれませんが、何かの参考になればと思います。
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